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この記事の内容は、図解スライド資料「AIに置き換えられる業務・残る業務 判定表【バックオフィス120業務】」として無料配布しています。

AIの進化を前に、自分の仕事がなくなってしまうのではないかと感じることがあるかもしれません。メディアには連日、AIが人間の仕事を奪うという予測が並びます。
しかし、バックオフィスの現場を観察すると、少し違う景色が見えてきます。消えるのは業務ではなく、その中にある作業のほうです。
感情論を排する3つの判定軸
感情論で不安になる前に、事実を整理する必要があります。業務がAIに置き換えられるかどうかは、3つの軸で機械的に判定できます。
- 定型度:毎回同じ手順で進むのか、それとも都度判断が必要なのか。手順書に書き起こせる定型的な処理であれば、AI化の対象になります。
- 判断の要否:例外が発生したとき、人の裁量や責任が必要になるかどうか。間違えたときに誰が責任を取るのかが問われます。
- データのデジタル度:入力情報が最初からデータで揃っているか。紙の伝票や電話での依頼、口頭での引き継ぎが混ざると、途端にAI化は難しくなります。
この3軸に照らすと、業務は「今すぐAI化」「人とAIの協業」「当面人」の3つに分かれます。
いますぐAI化できるのは、定型的で判断が不要であり、データが揃っている領域です。現行のツールですぐに自動化に着手できます。人とAIの協業は、AIが下書きや一次処理を行い、人が確認と判断を担う領域です。手間は大幅に減りますが、人は残ります。当面人は、非定型で高度な判断が求められ、対人対応や責任を伴う領域です。AIは補助情報の提供にとどまります。
判定のコツは、業務単位ではなく作業単位で見ることです。月次決算という業務全体は残りますが、その中の仕訳入力という作業は消えていきます。
部門別に見る「残る仕事」の傾向

部門ごとに判定していくと、それぞれの傾向が浮かび上がります。
経理部門
経理部門は、この3軸がすべて揃いやすい領域です。バックオフィスの中で最もAI化が速く進むでしょう。仕訳入力や請求書の発行、入金消込の突合などは、今すぐAI化できます。
一方で、決算や会計方針の判断、税務調査への対応は当面人が担います。経理の役割は、手で入力することから、結果をチェックし判断することへと変わります。
人事部門
人事は、事務作業と人への判断という二層構造になっています。
求人票の下書き作成や面接日程の調整といった事務層は、AI化が速く進みます。しかし、採用の内定判断や社員の査定など、人の納得が必要な意思決定は最後まで人に残ります。
労務部門
労務部門は、法律、お金、個人情報という三重の責任を負っています。勤怠データの集計や給与の一次計算、社会保険手続きの書類作成はAIに任せられます。
とはいえ、懲戒や解雇の判断、メンタル不調者への面談は人が行います。計算や書類作成は自動化できても、最終責任のチェックポイントは必ず人に残さなければなりません。
総務部門
総務部門は業務の幅が広く、何でも屋になりがちです。備品在庫の管理表更新や会議室の予約調整、社内からの問い合わせに対する一次回答をAI化するだけでも、体感する負担は大きく減ります。
ただし、株主総会などの重要会議体の運営判断や、突発的な事故やクレームへの現場対応は人が引き受けます。
法務部門
法務部門では、ひな形をベースにした契約書のドラフト生成や、リスク箇所を抽出する一次チェックが実用段階に入っています。AIの指摘は頼りになります。
ただ、AIの指摘はあくまで見落としを防ぐための網にすぎません。そのリスクを実際に取るかどうかの判断や、重要契約の交渉は人が下します。
なお、経理、人事、労務、総務、法務の5部門について、合計120種類の業務をこの3つに分類した判定表の実物は、記事末尾からダウンロードできるホワイトペーパーに収録しています。自社の業務をそのまま当てはめて確認してみてください。
120業務から見えたAI化の法則と壁
これらの業務を判定して見えてくるのは、いくつかの法則です。先ほど触れたように、どの部門でも業務そのものの名前は残ります。消えるのは入力、転記、突合、下書きといった作業です。
では、すぐにでもすべての作業のAI化が進むのでしょうか。そうしたかった、とは思います。
しかし現実は違います。AI化を阻む最大の壁は、技術の限界ではなく入口のデジタル化にあります。紙、電話、口頭でのやり取りが一つでも混ざった瞬間に、その業務は今すぐAI化の候補から脱落します。ペーパーレス化は、AIを活用するための前提となる基礎工事です。
また、当面人と判定される業務には共通点があります。責任を取る判断、人の感情が絡む対人業務、そして前例のない例外対応です。これらはAIには荷が重く、人が引き受けるべき領域です。
さらに、この判定は固定されたものではありません。今は人とAIの協業とされている業務も、数年経てば今すぐAI化の側へ移動していくはずです。判定表は毎年見直す前提で使う必要があります。
失敗しないための進め方

実際にAI化を進めるには、手順を踏む必要があります。いきなりすべての業務を対象にしてはいけません。
まずは自社の業務を仕分けし、今すぐAI化に該当するものの中から一つを選びます。選ぶ基準は、発生頻度が高く、手間がかかり、かつ失敗しても致命傷にならない業務です。
次に、選んだ1つの業務を、1人の担当者が1ヶ月間だけ小さく試します。このとき、AIの出力をそのまま使ってはいけません。必ず人が出力結果を確認する検品の工程を残したまま、精度と削減できる手間を測ります。
効果が確認できたら、同じような型の業務へ横展開し、手順を標準化していきます。よくある失敗は、ツールを入れること自体が目的になってしまい、事前の業務整理を飛ばしてしまうことです。検品をせずにAIを過信することも、大きな事故につながります。
役割を配置転換する
AI活用の目的は、単なる人減らしではありません。人を入力や転記といった作業から解放し、チェック、判断、改善という本来の役割へ配置転換することにあります。
自社で取り組む際は、部門の会議に判定表を持ち込み、現場の担当者自身に自分の業務を判定してもらうのが最も確実です。現場の納得感を作りながら、少しずつ役割を変えていく。そのための第一歩として、まずは目の前の作業を仕分けるところから始めてみてください。
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