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この記事の内容は、図解スライド資料「ERP vs SaaS連携 どっちが正解?【判断チャート付きガイド】」として無料配布しています。

自社にERPは必要なのか
会社の規模が大きくなり、部門間のデータ連携が追いつかなくなると、必ずと言っていいほどシステム刷新の話が持ち上がります。
その際、有力な候補として挙がるのがERPです。
会計から販売、在庫、人事までをすべて統合できると聞けば、理想的な解決策に思えるでしょう。
しかし、いざ検討を始めると、その規模の大きさに戸惑うはずです。
高額な見積もりを見て、本当に自社に必要なのかと二の足を踏む企業は少なくありません。
自社の身の丈に合っているのか。
それとも、複数の専門システムを組み合わせるほうが現実的なのか。
この判断は、多くの企業を悩ませています。
転記をなくすという思想

ERPは統合基幹業務システムと呼ばれます。
会計、販売管理、購買、在庫、人事給与といった主要な業務を、一つのデータベースでつなげる仕組みです。
その本質は、人間による転記作業をなくすことにあります。
多くの企業では、部門ごとに異なるシステムを使っています。
営業が受注システムに入力したデータを、経理が会計システムに手入力で打ち直す。
このようなバラバラの運用は、ミスの温床になるだけでなく、膨大な時間を奪います。
月末になれば、各部門から上がってくる数字を突き合わせる作業に追われることになります。
数字が合わなければ、どこで転記ミスが起きたのかを探し回らなければなりません。
ERPを導入すれば、営業部門が受注を入力した瞬間に、自動的に在庫が引き当てられ、出荷指示が出ます。
それがそのまま請求データになり、経理部門の売上として計上されます。
入力は一度だけで済み、全部門が同じデータを参照できるわけです。
経営者の視点に立てば、月次決算を待たずに全社の数字をリアルタイムで把握できるという利点があります。
工場の部品計算から全社の統合管理へ
この統合の思想は、どこから来たのでしょうか。
起源は1970年代の製造業に遡ります。
製品を100個作るために、どの部品がいつ、いくつ必要なのかを計算するMRPという仕組みが始まりでした。
MRPは資材所要量計画を意味します。
1980年代には、人員や設備、資金まで計画の対象を広げたMRPIIへと発展しました。
そして1990年代に、全社の経営資源を統合管理するERPという言葉が誕生します。
1972年創業のSAPや、大規模基幹システムを手がけるOracleといった海外大手が世界の大企業の標準となっていきました。
日本でも2000年代以降、大企業を中心に普及が進みます。
基幹システムという言葉は中核となるシステムの総称ですが、ERPはその統合パッケージ形態として定着していきました。
OBIC7、SMILEシリーズ、GRANDIT、プロジェクト型ビジネス向けのZACなど、国産の製品も多く登場しました。
なぜ中小企業には縁遠かったのか

大企業がこぞって導入した一方で、中小企業にとってERPは長らく縁遠い存在でした。
そこには三つの厚い壁があったからです。
費用の壁
従来のERPは、導入に莫大な初期費用と長い期間がかかりました。
サーバーを用意し、システムを構築するだけで多額の投資が必要になりました。
導入作業の壁
全社の業務を洗い出し、システムに合わせて要件を定義する作業は重く、途中で頓挫する企業も少なくありませんでした。
現場の担当者は通常業務を抱えながらプロジェクトに参加しなければならず、疲弊してしまいます。
カスタマイズの壁
自社の業務に合わせてシステムを改造しすぎた結果、バージョンアップができなくなる塩漬けシステム化が多発しました。
古い基幹システムが企業の足かせになる2025年の崖問題も、このカスタマイズの壁が原因の一つです。
クラウドERPとSaaS連携という選択肢
状況が変わったのは2010年代以降です。
クラウドERPの台頭により、買い方と導入の考え方が大きく変わりました。
サーバーを持つ必要がなくなり、初期費用を抑えて月額利用料で始められるようになりました。
世界初のクラウドERPであるNetSuiteや、Office製品と連携しやすいMicrosoft Dynamics 365などがその代表です。
同時に、システムに合わせて業務を変えるという考え方が主流になります。
さらに近年では、別の現実的なアプローチも登場しています。
巨大な一つのシステムを入れるのではなく、会計や人事などの専門SaaSをAPI連携で組み合わせる手法です。
API連携とは、異なるシステム同士をデータでつなぐ技術を指します。
freeeやマネーフォワード クラウドシリーズのように、会計を軸に人事労務などを統合していくプラットフォーム型のサービスも、この流れを加速させています。
巨大な統合か身軽な組み合わせか
一つのシステムですべてを統合するERPと、複数の専門ツールをつなぐSaaS連携。
どちらを選ぶべきなのでしょうか。
一体型のERPは、最初からデータがつながっているため内部統制を作りやすい反面、費用と導入の負担は大きくなります。
各業務の機能も深く、全社の数字を厳密に管理できます。
対するSaaS連携型は、各分野で最良のツールを選び、安く早く始められます。
ただし、連携の設計と管理は自社で責任を持たなければなりません。
自社がどちらに向いているのか。
その判断基準となる比較表や、条件をたどるだけで答えが出るYes/Noチャートをホワイトペーパーにまとめています。
社内検討の材料として活用してください。
境界線はどこにあるのか
結論から言えば、すべての企業にERPが必要なわけではありません。
検討を強く推奨するのは、次の三つの条件のどれかに当てはまる企業です。
- 在庫や製造の工程がある
- 複数の拠点やグループ会社がある
- 上場を目指している
在庫や製造があれば、モノの動きとカネの動きを一致させる価値が極めて大きくなります。
拠点やグループ会社が複数あれば、数字の集約にかかる膨大な手間を省けます。
上場を目指すのであれば、厳密な監査に耐える内部統制が必要になります。
これらの条件に当てはまらないのであれば、クラウド会計を核にして専門SaaSをつなぐ小さな統合が、現実的な解になります。
システム選びの前にやるべきこと
ここで立ち止まって考えたいことがあります。
本当の目的はERPを導入することではありません。
自社の業務から無駄な転記をなくすことです。
どちらの道を選ぶにしても、最初にやらなければならないことは同じです。
現在の業務を棚卸しし、誰が、どこで、何を転記しているのかを可視化することです。
この現状把握を飛ばして新しいシステムを入れても、結局は現場の混乱を招くだけに終わります。
弊社でも業務棚卸しや可視化の支援を行っています。
まずは自社の業務のつながりを紐解くところから始めてみてはいかがでしょうか。
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