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この記事の内容は、図解スライド資料「ワークフロー(稟議)システム 比較ガイド【組織規模別チャート付き】」として無料配布しています。

稟議が遅い会社の共通点
稟議が遅いと感じることがあるだろう。 ハンコを電子化すれば速くなるに違いない。 そう思ってシステムを入れたのに、なぜか以前と変わらない。 そんな声を聞くことがある。 原因はハンコではない。 承認の構造にある。
稟議が滞る会社には、いくつかの共通した景色がある。
- 承認者が多すぎる
- 承認ルートが人の頭の中にしかない
- 紙やメールが口頭のやり取りと混在し、今どこで止まっているか誰も分からない
- 差し戻しのたびに最初からやり直しになる
一つめは、さっき見た承認の構造の正体である。 金額の大小に関係なく、ボールペン一本の購入から数百万の契約まで、全件が役員まで回っている状態だ。 役員は現場の詳細を知らないため、結局は担当部門の判断を信じてハンコを押すことになる。 実質的な判断が伴わない承認は、ただ時間を浪費するだけである。
二つめの状況も珍しくないだろう。 この件は誰に回すんだっけと確認する手間が、申請のたびに進行を止めている。 担当者が休んでいると、代わりのルートが誰にも分からない。 結果として、書類は机の上で眠り続ける。
三つめと四つめは、記録の不在が引き起こす混乱である。 今誰の机の上に書類があるのか見えず、修正履歴も残らない。 差し戻されると最初からやり直すことになり、時間がいくらあっても足りない。 どこで止まっているかを探すための社内電話が、さらに業務の時間を奪っていく。
これらの問題は、紙の稟議書をそのまま画面に映し出したところで解決しない。
ワークフローシステムは何を変えるか

では、システムは何を解決するのだろうか。 ワークフローシステムとは、申請書のフォーム化、承認ルートの自動化、そして証跡の記録を行う仕組みである。
まず、稟議書や購買申請などの紙を画面フォームに置き換える。 必須項目や数値の入力チェック機能が働くため、記入漏れによる手戻りを未然に防ぐことができる。 手書き特有の読みにくさから生じる確認の手間もなくなる。
次に、申請内容に応じて回付先を自動で分岐させる。 金額や部門といった条件をもとにシステムが次の承認者を判断するため、ルートを人の頭で覚える必要がなくなる。 誰に回すかで迷う時間はゼロになる。
承認が滞っていれば、システムが自動で催促の通知を送ってくれる。 担当者が直接催促しに行く心理的な負担も消える。
さらに、誰がいつ承認したかが自動で記録される。 この証跡は、監査や内部統制の確かな証拠になる。 いつ誰が承認したかという履歴が残ることで、責任の所在も明確になる。
スマートフォンに対応していれば、外出中の役員もその場で承認できる。 出社を待つだけの時間はなくなるというわけだ。
ツールの前にやるべき承認ルートの整理
これで何もかもが解決するわけではない。 遅い稟議の構造を残したまま電子化すると、速く回る遅い稟議ができあがるだけだ。 システムが自動で回付しても、承認者が多ければ結局はどこかで滞る。
では、先にツールを入れてから整理すればよかったのだろうか。 そうしたかった、とは思う。 しかし、現実は逆だ。 導入の成否を分けるのは、ツールを選ぶ前に承認ルートを整理できるかどうかである。
具体的には、四つの整理を行う。
- 承認者を減らす
- 金額基準で分ける
- 申請書の種類を統廃合する
- 承認と報告を分ける
まず、その人は本当に判断しているのかを問い直す。 実質的に見ているだけの承認者は、思い切ってルートから外す。 回覧板のようにただ目を通すだけの工程は、承認とは呼ばない。
次に、少額の決裁は部門長までとし、高額なものだけを役員に回すといったように、金額でルートを分ける。 ここは、誰がいくらまで決裁できるかを定めた社内ルールである、職務権限規程と整合させる必要がある。
似たような申請書が部門ごとに乱立しているなら、棚卸しをして数を減らす。 同じ目的の書類が複数あると、システムへの移行作業そのものが膨れ上がってしまう。
そして、判断が不要な人には、事前に承認を求めるのではなく事後報告に回す。 これで、承認の段数は劇的に減るはずだ。
ルートの整理はツール選定の前工程である。 ここを外部の目で棚卸しすることが、結果的に最短ルートになる。
自社に合うシステムはどう見つけるか

整理を終えたら、いよいよシステムを選ぶ。 比較の軸となるのは、申請フォームの作りやすさ、承認ルートの柔軟性、他システムとの連携、そして内部統制への対応である。
比較軸の深掘りと連携の見方
なかでも見落としがちなのが連携だ。 承認された結果が会計ソフトや購買システムに自動でつながらないと、結局は手作業でデータを移し替えることになる。 既存のシステムと連携できるかを先に確認しておきたい。 転記という作業が残れば、そこには必ず入力ミスが入り込む。
また、通知が普段使っているチャットやメールに飛ぶかどうかも重要だ。 システムにログインしないと承認依頼に気づけないようでは、再び進行が止まってしまう。 日常の業務の流れの中に、承認の通知を組み込めるかが鍵になる。
内部統制への対応も欠かせない。 承認履歴の改ざんを防ぎ、監査ログを残せるか。 職務権限規程どおりのルートを強制できるか。 これらは、企業が守るべきルールの根幹に関わる。
システムの設定と社内の規程がずれていると、後になって監査で指摘されることになる。 規程にない例外的なルートをシステム上で許容してしまうと、内部統制が機能しなくなる。 機能一覧の丸やバツを数えるより、自社の既存システムと規程に噛み合うかを見るほうが確実だ。
組織規模別の考え方
会社の規模によっても、選ぶべきシステムは変わってくる。 30名以下の組織であれば、承認の段階はそれほど深くない。 スケジュールや掲示板を備えたグループウェア一体型の製品や、シンプルに始められる定番製品で十分なことが多い。
30名から100名になると、申請書の種類と条件分岐が増え始める。 この時期には、自社の運用スタイルが分かれ道になる。 既存の表計算ソフトで作った帳票を活かすか、紙のレイアウトをそのまま画面で再現するか、あるいは業務アプリそのものを内製するか。 これまでの資産をどう扱うかで選択が変わる。
100名から300名になれば、内部統制や監査対応の要件が本格化する。 ルートの複雑な条件分岐や、確実な証跡の保存が求められるようになる。 誰が代理で承認できるかといった、細かな権限設定も必要になるだろう。
さらに規模が大きくなれば、基幹システムとの連携を前提とした上位製品を検討することになる。 ただし、規模はあくまで目安にすぎない。 実際の承認の段数や拠点数によって補正が必要になる。
主要システムのプロフィール
ここで、よく比較される五つの製品の横顔を見ておこう。
一つめはジョブカンワークフローである。 低コストでシンプルに始められる定番であり、同じシリーズの勤怠や経費精算と併用しやすい。
二つめはサイボウズのkintoneだ。 プログラムを書かずに業務アプリを作れる基盤であり、ワークフローを他の業務管理と一体で内製したい会社に向いている。
三つめはサイボウズOfficeである。 中小企業向けのグループウェアであり、スケジュールや掲示板と合わせてワークフローを整えることができる。
四つめはエイトレッドのX-point Cloudだ。 紙の申請書のレイアウトをほぼそのまま電子化できる再現力があり、紙文化からの移行がスムーズに進む。
五つめはコラボフローである。 使い慣れた表計算ソフトの帳票から申請フォームを作れる設計が特徴だ。
どの製品が優れているかではなく、自社の状態にどれが向いているかで判断することになる。 なお、これら5製品の機能や料金をまとめたマトリクス比較表と、組織規模別のYes/No選定チャートは、本記事の末尾からダウンロードできるホワイトペーパーに実物を収録している。 社内の検討資料としてそのまま使える作りになっているので、活用してほしい。
ワークフローシステムを定着させる原則
ツール選定の前に、承認の棚卸しを済ませておく。 既存システムや規程との噛み合わせで選ぶ。 そして、小さな申請書一種類から始めて、少しずつ広げていく。 この三つが、ワークフローシステムを定着させるための原則である。
誰が、何を、いくらまで判断しているのか。 これを自社だけで客観的に可視化するのは難しいかもしれない。 迷ったときは、管理のプロが提供する業務棚卸し・可視化サービスなどに相談して、外部の目を入れるのも一つの手だ。 それが、停滞した稟議を動かす最初の一歩になる。
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ジョブカン・kintone・サイボウズOffice・X-point Cloud・コラボフロー ― 5製品比較表と「ツールの前にやるべき承認ルート整理」まで
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